全国に72万か所
土砂災害警戒区域は、土砂災害防止法にもとづいて都道府県が指定する区域です。国土交通省の集計(2026年6月30日時点)では、全国に721,014か所あります。
| 種類 | 区域数 | うち土砂災害特別警戒区域 |
|---|---|---|
| 急傾斜地の崩壊(がけ崩れ) | 482,534 | 459,201 |
| 土石流 | 222,068 | 162,085 |
| 地滑り | 16,412 | 1 |
| 合計 | 721,014 | 621,287 |
土砂災害防止法は、土砂災害のおそれのある区域について、危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進といった対策を進めるための法律です。区域に指定されていること自体が、「ここは危ない」と国と都道府県が知らせている状態だと考えてください。
そして大事なのは、区域の外でも起きることです。国土交通省も、警戒区域等でない区域でも土砂災害が発生する場合があるとして、「付近に『がけ地』や『小さな沢』などがあれば注意してください」としています。
3つの種類
| 種類 | どう起きるか |
|---|---|
| がけ崩れ | 斜面の地表に近い部分が、雨水の浸透や地震などでゆるみ、突然崩れ落ちる。前ぶれから崩れるまでが短い |
| 土石流 | 山腹や川底の石や土砂が、長雨や集中豪雨によって一気に下流へ押し流される。谷の出口で氾濫し、家屋や道路を壊す |
| 地すべり | 斜面の一部または全部が、地下水の影響と重力によってゆっくり斜面の下方へ移動する。1日に数ミリのこともあれば、突然数メートル動くこともある |
まず、自分の家が区域内かを調べる
- 住所でハザード確認 — 住所を入れると、土砂災害警戒区域に入っているかと、近くの避難場所が地図で見られます。
- ハザードマップポータルサイト — 国土交通省の地図で、全国の土砂災害警戒区域を重ねて見られます。
- 市区町村のハザードマップ — 紙で配られているものが、いちばん詳しい場合があります。
調べるのは自宅だけではありません。子どもの学校と通学路、職場、通勤の道も見てください。土砂災害は、家にいるときだけ起きるわけではありません。
逃げるタイミング
2026年5月29日から、気象庁の情報の名前に警戒レベルが付きました。土砂災害の情報は4段階です。
| 情報 | 相当するレベル | とる行動 |
|---|---|---|
| レベル2土砂災害注意報 | レベル2 | 避難場所と避難経路を確認する |
| レベル3土砂災害警報 | レベル3 | 高齢者や、避難に時間がかかる人は避難する |
| レベル4土砂災害危険警報 | レベル4 | 危険な場所から全員避難する |
| レベル5土砂災害特別警報 | レベル5 | すでに命の危険が迫っている。命を守る行動 |
レベル4土砂災害危険警報は、2026年5月28日までの「土砂災害警戒情報」にあたる情報です。都道府県と気象庁が共同で、市町村単位で発表します。これが出たら、土砂災害警戒区域にいる人は直ちに避難します。
市町村の避難情報を待たずに、自分のいる場所の危険度をキキクルで見ることもできます。色は10分ごとに更新され、**紫がレベル4相当(危険)、黒がレベル5相当(災害切迫)**です。紫になったときには、もう避難を終えている状態が理想です。
警戒レベルそのものの意味は警戒レベルにまとめています。
どこへ逃げるか
国土交通省は、避難の方法をはっきり示しています。
土砂災害警戒区域の内から外への避難しましょう。自宅外に避難できない場合は、高層階への移動を(次善の策)
原則は、区域の外に出ることです。指定された避難所でなくても、区域の外にある親戚や知人の家、ホテルでもかまいません。
そのうえで、すでに雨風が強く外に出るほうが危ないときは、次善の策として建物の上の階へ移ります。このとき、がけや沢と反対側の部屋を選びます。がけ側の1階は、土砂が入ってくる場所です。
避難先と、そこへ向かう道は、雨が降る前に決めておきます。わが家の避難計画シートに書き込めます。
前兆現象 — 見たらすぐ逃げる
国土交通省の検討会がまとめた、土砂災害が起きる前の現象です。
がけ崩れ
- がけにひびわれが入る
- がけから水がわき出す、わき水が濁る、わき水が止まる
- がけから小石がパラパラ落ちる
- 木の根が切れる音がする、木が揺れたり傾いたり倒れる
- 異常な山鳴り・地鳴りがする
土石流
- 異常な山鳴り・地鳴りがする
- 山の樹木がザワザワと騒ぐ、木の裂ける音がする
- 腐った土のにおい、焦げくさい臭いがする
- 急に川の水が濁り、流木が混じる
- 雨が降り続いているのに、川の水位が急に下がる(上流でせき止められています)
- 石がぶつかり合う音、ゴーという雷のような音がする
地すべり
- 地面や斜面に、ひびわれや段差ができる
- 斜面から水が吹き出す
- 沢や井戸の水が濁る、池が濁る
- 家や擁壁に亀裂が入る、家が傾く、ふすまや戸の開閉が難しくなる
- 電柱が傾く
ただし、同じ資料はこう注意しています。「上記は一般的な前兆現象です。すべての場所において必ず起きるというものではありません」。 前兆を待ってから動くのではなく、前兆に気づいたらもう手遅れに近いと考えてください。避難の判断は、警戒レベルとキキクルで先にします。前兆は、最後の合図です。
気づいたときは、市町村役場や消防に連絡したうえで、自分と近所の人がすぐ避難します。
雨が降る前にやっておくこと
- 避難先を2か所決める。 指定避難所と、区域の外にある親戚・知人の家。夜中に動くことになる前提で選びます。
- 夜の雨を避ける。 暗くなってからの避難は、それ自体が危険です。レベル3が出た時点、日が暮れる前に動きます。
- 近所と声をかけ合う。 土砂災害で亡くなる人には、高齢者が多く含まれます。ひとりでは動けない家に、誰が声をかけるかを決めておきます。
- 雨が続く日は、家の中の寝る場所を変える。 がけ側の部屋で寝ない、というだけでも違います。
大雨・台風そのものへの備えは台風・大雨の前日にやること、川の氾濫や浸水については洪水・浸水から逃げるにまとめています。