防災の話は、聞くだけでは残りにくいものです。自分で考えて手を動かすと、残り方が変わります。国や自治体は、そのためのゲーム形式の教材をいくつも作って公開しています。
ここでは、公式ページで中身を確かめられた9つを、使う場面ごとに紹介します。多くは無料で、印刷すればその日に使えます。
まず選ぶなら
| 使う場面 | 教材 | 作ったところ | 手に入れ方 |
|---|---|---|---|
| 家で子どもと | このつぎなにがおきるかな? | 国土交通省 | 無料でダウンロード |
| 家で子どもと(2人で対戦) | 気をつけ妖怪図鑑 | 国土交通省 千曲川河川事務所 | 無料でダウンロード |
| 1人で、すぐに | 防災学習クイズ | 国土交通省 | サイト上で遊ぶ |
| 幼稚園・保育所 | ぼうさいまちがいさがし きけんはっけん! | 日本赤十字社 | 無料でダウンロード |
| 学校の授業、地域の講座 | 気象庁ワークショップ | 気象庁 | 無料でダウンロード |
| 自治会・自主防災組織 | 避難所運営ゲーム(HUG) | 静岡県 | 購入(進行用スライドは無料) |
| 自治会・自主防災組織 | 災害図上訓練 DIG | 静岡県が手引きを公開 | 無料(大きな地図を用意する) |
| 自治会・自主防災組織 | イメージTEN | 静岡県 | 無料でダウンロード |
| 職場、自治体の職員、大人の集まり | クロスロード | チームクロスロード(内閣府が紹介) | 購入 |
家で子どもと遊ぶ
このつぎなにがおきるかな?(国土交通省)
災害のときに起きる危険な状況を、4枚ひと組の物語にしたカードゲームです。A・B・Cの3枚が「そのとき起きること」、Dの1枚が「そうならないための備えや行動」になっています。
- 編は「じしん」「すいがい」「つなみ」「どしゃさいがい」「たいふう」の5つ
- 1つの編は、7つの物語(28枚)と、「これくらいならだいじょうぶかも」のカード1枚
- 対象は小学生以上。小学4年生くらいなら確実に読めるように、漢字の使い方を工夫してある
- 名刺サイズ、ハガキサイズ、A4サイズの3種類のデータがあり、無料でダウンロードして印刷できる
遊び方は、ふつうのトランプ遊びを置き換えた3つです。
| 遊び方 | もとの遊び | 人数 |
|---|---|---|
| 防災7ならべ | 7ならべ | 4人がちょうどよい |
| 防災かるた | かるたとり | 3〜6人 |
| 防災ババぬき | ババぬき | 6〜8人 |
防災7ならべでは、カードを出すときにイラストの下の文を声に出して読みます。何が起きるかを口に出して、まわりの人と共有するためです。防災ババぬきでは、最後に「これくらいならだいじょうぶかも」のカードが手元に残った人が負けになります。
データは国土技術政策総合研究所のページにあります。
気をつけ妖怪図鑑(千曲川河川事務所)
水害の危険を「妖怪」に見立てた、2人で対戦するカードゲームです。妖怪と災害で攻め、防災で守ります。自分で作戦を立てて遊ぶ作りで、防災や災害に関心を持ち、防災の言葉を知るきっかけになることをねらっています。
- カードは、妖怪カード(7種類)、災害カード、防災カード、特殊カードの4種類
- 相手のライフ(5000)を0にするか、山札が尽きたときにライフが多いほうが勝ち
- カード、プレイマット、パンフレットを無料でダウンロードできる
千曲川河川事務所は、小学4年生への出前授業でこのゲームを使っています。「お家でも遊びたい」という声があったと紹介されています。
防災学習クイズ(国土交通省)
国土交通省の防災学習ポータルサイトにある、20問のクイズです。ポータルサイトの教材で学んでから挑戦する作りになっています。印刷も準備もいらないので、いちばん手軽です。
このサイトにも、防災クイズ(110問から10問ずつ、解説つき)があります。
幼稚園・保育所で
ぼうさいまちがいさがし きけんはっけん!(日本赤十字社)
間違い探しをしながら、身のまわりの危険を自分で見つける教材です。幼稚園・保育所向けに作られています。
- 教室の中、園庭、ふだんのまち、災害の場面など、6つのテーマから選べる
- 間違った行動をするとどうなるか、「なぜ」その行動をとるのかまで学べる
- 解説書がついていて、一度読めば使える
- 教材は日本赤十字社のページからダウンロードできる
小学生から高校生向けには、同じページに「まもるいのち ひろめるぼうさい」という教材があります。
学校の授業、地域の講座で
気象庁ワークショップ「経験したことのない大雨 その時どうする?」
大雨のときに、気象台が出す情報をもとに、いつ、どう避難するかをグループで考える教材です。警戒レベルにそった避難行動を疑似体験します。
- 運営マニュアル、説明用のスライド、状況を伝える資料、検討結果を書くシート、役割を決めるくじが、すべて無料で公開されている
- 台本は運営マニュアルに載っている
- 令和8年度の防災気象情報の変更に対応している(令和8年7月)
- マイ・タイムラインや地区防災計画を作る前の学習にも向く、と気象庁は説明している
警戒レベルそのものは、警戒レベルの意味にまとめています。
自治会・自主防災組織で
静岡県が手引きや教材を公開している訓練が3つあります。どれもグループに分かれて行うので、参加した人どうしの交流が生まれます。
避難所運営ゲーム(HUG)
避難所の運営を、机の上で疑似体験するゲームです。避難してくる人を表すカードを、体育館や教室の図面の上に配置していきます。
- カードは1セット250枚。1枚ごとに、住所、年齢、家の状況、世帯の状況、特記事項などが書いてある
- カード1枚は、縦2m×横1.5mの3平方メートルを表す
- 体育館や教室の図面と、進行用のスライドがセットに入っている
セットは「NPO法人静岡県作業所連合会・わ」が製造・販売しています。進行用のスライドは、静岡県の防災教育教材のページで無料で公開されています。
内容を地域に合わせて作り変えるには、静岡県の使用許可が必要です。 HUGの著作権と商標権は静岡県が持っています。静岡県のページで公開されている情報を引用するだけなら手続きはいりませんが、「静岡県ホームページより引用」と書きます。
避難所で実際に何が起きるかは、避難所での生活にまとめています。
災害図上訓練 DIG
参加者が地図を囲み、話し合いながら地域の防災対策を考える訓練です。Disaster(災害)、Imagination(想像力)、Game(ゲーム)の頭文字からDIGと名付けられました。
静岡県は、準備のしかた、初級編、中級編、応用編、実践編、家庭内DIGの手引きをPDFで公開しています。静岡県の防災教育教材のページには、進行用のスライドもあります。
用意するものは、A1くらいの大きな地図です。静岡県は、地域の災害の特性に合わせて行う必要があるので、ある程度の防災の知識がいる、と注意しています。
地図に書き込むハザードは、住所でハザード確認で調べられます。
イメージTEN
災害のときに自主防災組織がどう動くかを、時間の順に考えるイメージトレーニングです。名前は「Image Training & Experience of Neighborhood」の頭文字と、最大10個(TEN)の課題に取り組むことから来ています。
- 架空の地域の地図、役員名簿、資機材リスト、課題を出すカード、マニュアルが無料で公開されている
- 静岡県は「煩雑なルールはなく、準備も簡単。経費もかかりません」と説明している
- 風水害に合わせて作り変えた「風水害イメージTEN」もある
職場、自治体の職員、大人の集まりで
クロスロード
災害対応で迫られる難しい判断を、カードで追体験するゲームです。カードに書かれた場面を自分の問題として考え、YESかNOかを出し、なぜそう考えたかを話し合います。
- 最初の「神戸編・一般編」は2004年7月にできた。阪神・淡路大震災で対応にあたった神戸市の職員へのインタビューがもとになっている
- 問題の例は「人数分用意できない緊急食料をそれでも配るか」「学校教育の早期再開を犠牲にしても学校用地に仮設住宅を建てるか」
- 正解は示されない。 なぜそう考えたかを参加者どうしで話し合うことが、いちばんの要点になる
- その後、「市民編」「高知編」「学校安全編」「大学生編」「要援護者編」などが作られた
内閣府のページによると、「神戸編・一般編」と「市民編」は京都大学生協を通じて一般にも販売されています。制作・著作はチームクロスロードです。
使うときに気をつけること
- 作り変えたり、配ったりする前に、使用の条件を確かめる。 HUGのように、作り変えるのに許可がいる教材があります。それぞれの公式ページで確かめてください
- 遊んだあとに、自分の家や地域の話に戻す。 ゲームは入口です。終わったら、家のハザードを確かめる、備蓄を数える、集合場所を決める、のどれか1つにつなげます
- 怖がらせすぎない。 「このつぎなにがおきるかな?」は、危険な場面が怖くなりすぎないように、絵をピクトグラムにしています。小さい子どもと遊ぶときの目安になります
学校や自治会の訓練で使える印刷シートとクイズは、学校で使う教材と自治会・職場の訓練教材にまとめています。
この記事で扱っていないもの
市販のゲームソフトやボードゲームは紹介していません。このサイトは特定の商品を勧めない方針で、国や自治体などの公式ページで中身を確かめられた教材だけを載せています。