住戸が無事でも、生活が止まる
マンションの水害では、上の階の住戸に水が来なくても、生活が止まることがあります。電気を受ける設備(高圧受変電設備)や給水ポンプが、地下や1階に置かれていることが多いからです。
国土交通省の発表では、令和元年東日本台風(第19号)の大雨に伴う内水氾濫で、「高層マンションの地下部分に設置されていた高圧受変電設備が冠水し、停電したことによりエレベーター、給水設備等のライフラインが一定期間使用不能となる被害が発生しました」。
これを受けて国土交通省と経済産業省は、検討会を設けて建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(2020年6月)をまとめ、マンション、オフィスビル、病院などに周知しています。
国のガイドラインが示す考え方
ガイドラインは、高圧受変電設備などがある建物の新築時・改修時を対象に、次の順で対策を考えるとしています。
- 目標水準を決める。 国や自治体が公表する浸水想定などを調べ、想定される浸水の深さや続く時間を踏まえて「設定浸水規模」(例:〇〇cmの浸水深)を決める。
- 浸水の経路を洗い出す。 出入口、地下駐車場のスロープ、換気口、配管やケーブルの貫通部など、設備に水が届くまでの道すじを予測する。
- すべての経路をふさぐ。 建物の出入口に止水板を設置するなど、「水防ライン」を決めて切れ目なく対策する。
武蔵小杉の事例では、住民が土のうを積んで1階への浸水は防いだものの、地下の配管経由で水が入り、貯水槽があふれて地下3階が浸水しました。玄関だけ守っても足りない、ということです。
管理組合で確かめること
- 受変電設備と給水ポンプの場所。 地下か、1階か、屋上か。図面と現地で確かめます。
- 浸水想定。 建物の場所が洪水・内水・高潮の想定区域に入っているか。住所でハザード確認で調べられます。
- 水の入り口。 地下駐車場のスロープ、ドライエリア、通風口、ケーブルの貫通部。
- 止水板や防水扉の有無と、出す手順。 置き場所と、誰がいつ設置するかを決めておきます。
- 排水ポンプの容量と非常用電源。 停電すると排水ポンプも止まります。
- 補助制度。 東京都は「東京とどまるマンション」の登録マンションに、止水板・防水扉・防水シャッターなどの浸水対策設備の導入費を補助しています。
住民ができる備え
- 大雨の予報が出たら、地下と1階から物を移す。 倉庫や駐輪場に置いた物は濡れます。
- 車を高い場所へ移す。 地下や平面の駐車場は水没します。機械式駐車場は停電すると出せません。移す先と移すタイミング(警戒レベル3が目安)を、管理組合で決めておきます。
- エレベーターに乗らない。 浸水が始まると、停止・閉じ込めの危険があります。停電でマンションに起きること
- 断水と停電に備える。 浸水で設備が壊れると、復旧に時間がかかります。水・食料・簡易トイレは7日分。備蓄計算
- 逃げるか、とどまるかを決めておく。 建物が浸水想定区域にあり、浸水の深さが上の階を超えない場合は、上の階へ移る「屋内安全確保」が選べます。土砂災害の危険がある場所では、外へ避難します。判断の目安は警戒レベルにまとめています。
まず今日やること
- 住所でハザード確認で、建物の浸水想定を調べる。
- 受変電設備と給水ポンプが地下にあるかを、管理組合に確かめる。
- 大雨のときに車をどこへ移すかを決めておく。