水が出ても、流してはいけない
地震のあと、蛇口から水が出ても、水洗トイレを流してよいとは限りません。建物の排水管が壊れていると、流した水の行き場がなくなります。
東京都下水道局は、配管などが破損していると「下水が詰まって汚水が逆流したり、破損したところから噴出することがあります。特に集合住宅の場合は、下の階のお宅へ汚水が逆流する場合があります」としています。自分の部屋のトイレを流したために、階下の部屋に汚水があふれることがあるということです。
だから集合住宅では、建物の排水管が無事だと確かめられるまで、水洗トイレを流さないのが原則になります。確かめるのは各戸ではなく、管理組合や管理会社です。
確認が終わるまでの流れ
- 地震が起きたら、まずトイレを使わない。 家族全員に伝え、トイレのふたに「流さない」と書いた紙を貼ります。
- 簡易トイレに切り替える。 便器にポリ袋をかぶせ、その上にもう1枚袋をかけて、凝固剤を入れて使います。
- 管理組合・管理会社の確認を待つ。 排水管の点検が終わり、「使ってよい」と知らせがあるまで続けます。
- 知らせがあったら、少しずつ流して様子を見る。 流れが悪い、音がおかしい、下の階から連絡があるといった場合は、すぐに使用をやめて管理会社に伝えます。
排水設備は建物の所有者や区分所有者の財産です。東京都下水道局も「排水設備はお客さまの財産であるため、災害時においてもお客さまの費用で修理や維持管理等をする必要があります」としています。修理は自分たちで手配することになります。
必要な数は「1人1日5回×7日」
内閣府のガイドラインでは、トイレの回数を1人1日5回として必要数を見込みます。集合住宅は断水と排水の停止がどちらも長引きやすいので、7日分を目安にします。
| 家族の人数 | 7日分の目安 |
|---|---|
| 1人 | 35回分 |
| 2人 | 70回分 |
| 3人 | 105回分 |
| 4人 | 140回分 |
備蓄計算で「集合住宅の中高層階に住んでいる」にチェックを入れると、2割増しで計算します。選び方は簡易トイレの選び方にまとめています。
使ったあとの保管がいちばん困る
エレベーターが止まると、汚物の袋を下に運べません。ごみ収集も数日から数週間止まります。次の3つを先に決めておきます。
- 防臭袋を用意する。 使用後の袋を、さらに防臭袋に入れて口を縛ります。
- 室内の保管場所を決める。 直射日光の当たらない、風呂場やベランダの日陰など。ふた付きの容器かポリバケツに入れます。
- 管理組合のごみの置き場を確かめる。 敷地内に一時置き場を決めているマンションがあります。決まっていなければ、平時に相談しておきます。
給水が止まる理由も知っておく
停電すると、受水槽から各階へ水を押し上げるポンプが止まり、高層階から水が出なくなります。受水槽が無事でも同じです。断水したときの水の使い方は断水とトイレの備えに、停電で止まる設備は停電でマンションに起きることにまとめています。
日頃にできること
- 管理組合の防災マニュアルに「排水管の確認が済むまでトイレを使わない」が書かれているか確かめる。 なければ、総会や理事会で提案します。
- 給排水管の状態を把握する。 東京都は「東京とどまるマンション」に登録した築30年以上のマンション(全面的な給排水管の取替えをしていないもの)に、専門家を無料で派遣する給排水管点検調査を行っています。大地震のあとに損傷の有無を確認する点検方法の提案も受けられます。
- 全戸に簡易トイレが行き渡っているか確かめる。 1戸でも流してしまうと、下の階に被害が出ます。掲示板や回覧で周知します。
まず今日やること
- 簡易トイレを家族の人数×5回×7日分そろえる。
- 使用後の袋を置く場所と防臭袋を決める。
- 管理組合の防災マニュアルに、トイレのルールがあるか確かめる。